2025.12.22
【WMS失敗談③・総括編】WMS導入で「成功する」ための3つのポイント
前回、前々回と2回にわたり、WMS(倉庫管理システム)導入における「リアルな失敗体験談」をお届けしてきました。
1.実はWMSを導入しないほうが業務に即したものになったという例
2.WMSの導入はしたが実際の使い方の面でうまくいかなかった例
少し極端な例に聞こえたかもしれませんが、これらは全て実際の現場で起きた本当の話です。これを読みながら、ご自身の現場を思い浮かべ、「ドキッ」とした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
さて、シリーズ最終回となる今回は、これまでの失敗を踏まえた総括です。「では、WMSを導入するときに、どのような点に気をつければよいか?」「何をおこなえば、そういった失敗を防げるのか?」 その答えとなる「3つのポイント」について、専門家の視点から解説します。
目次
📝ポイント1:やりたいことを「きっちり」書き出す
まず1つ目は、システム開発で言うところの「要件定義」にあたりますが、難しく考える必要はありません。まずは付箋やExcelに、「WMSで何を実現したいのか(=やりたいこと)」を箇条書きにすることから始めましょう。
ここで重要なのは、「深掘り」することです。 例えば、「在庫を正確に管理したい」という要求があったとします。これだけでは不十分です。ここからもう一段階、解像度を上げていきます。
レベル1:在庫数を正確に管理したい
レベル2:入荷、出荷、そして「破損」の記録も正確に残したい
レベル3:破損処理の際、「数」を減らすだけでなく、「理由(破損、紛失、数え間違い)」も紐づけて管理したい。
ここまで具体化して初めて、「このWMSは理由管理ができるか?」という具体的なチェックが可能になります。 「5〜10個」程度のやりたいことを、深掘りして「20〜30個」の具体的なリストにする。これが、ミスマッチを防ぐ最強のチェックリストになります。
🗺️ ポイント2:「業務フロー」を書いてみる
導入するWMSが決まったら、次は 「誰が」「いつ」「どう操作して」「在庫がどう動くか」を可視化します。よくある失敗が、「入荷→検品→出荷」のような単純すぎるフロー図で満足してしまうことです。これでは現場の落とし穴にはまります。

⚠️ ここに注意!「システム上の在庫」はいつ減る?
例えば「出荷作業」一つとっても、WMSによって挙動は異なります。
- 検品した瞬間に在庫が減るのか?
- その日の作業終了後、ボタンを押した瞬間に一括で減るのか?
この仕様の違いを関係者全員が理解していないと、「データ上はあるのにモノがない」というトラブルに直結します。
⚠️ ここに注意!「イレギュラー」こそ詳細に
前回の失敗談でも触れた「破損」などの例外処理こそ、フロー図の肝です。
パターンA(即時処理)
破損発覚 ➡ すぐにWMSで在庫を減らす(売り越し防止優先) ➡ 後で報告
パターンB(確認後処理)
破損発覚 ➡ 保留場所へ移動 ➡ 荷主様へ報告・判断を仰ぐ ➡ 指示通りに処理(廃棄orB品化)
このように、「分岐」を含めた詳細なフローを書いておくことが、現場の混乱を防ぐ唯一の手立てです。
⚖️ ポイント3:厳しく「評価」を実施する
最後のポイントは、運用開始直後の「答え合わせ」です。 ここには2つの軸があります。
1. システム自体の評価(○×をつける)
「できます」という営業トークを信じて導入したけれど、本当にできているか? 「品質管理ができます」と言われたが、実際に使ってみたら「ただメモが残せるだけ」で、「B品を指定して出荷する機能」はなかった…。 このように、「やりたいことリスト」と「実態」の○×評価をシビアに行います。
2. 現場の運用の評価(遵守できているか)
作成した「業務フロー」通りに現場が動けているか? もし、「即時報告なんて忙しくて無理!1日分まとめて報告してます」と、現場判断で勝手にルールが変わっていたら危険信号です。
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- 現場を指導してフロー通りに戻すか?
- そもそもフローに無理があったと認め、ルール(あるいはWMS自体)を見直すか?
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この判断を先送りにせず、フラットな視点で評価・修正を行う勇気を持ってください。
💡【教訓】「今さら…」なんてことはない!
今回ご紹介した3つのポイント。 「もう導入してしまったから遅いよ…」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、遅すぎるということは一切ありません。
今からでも、「やりたいこと」を書き出し、現状の「業務フロー」を見直し、WMSが正しく使われているかを「評価」してみてください。 もしかしたら、運用フローを少し変えるだけで、あるいは思い切ってシステムを見直すことで、現場の景色は劇的に変わるかもしれません。
ぜひ今日から、自社の業務フローを「書いて、見直し、共有する」活動を始めてみてはいかがでしょうか。

◇会社概要
会社名 LF&L株式会社(LF&L co.)
本社所在地 〒212-0014 神奈川県川崎市幸区大宮町14-3フォレストマインズ202
代表者 代表取締役社長 小林悠真
企業URL https://lflc.jp/
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