ABC分析とは|在庫管理の悩みを解決するための3ステップ

店舗運営において、在庫管理の適正化は重要です。機会損失を防ぐため一定の在庫を維持しなければならない一方、在庫を抱えすぎるとキャッシュフローの悪化を招きます。商品によっては過去の受注データを参考にある程度の予測を立てられますが、必ずしも想定通りに売れるとは限りません。

 

 

 

 

在庫管理の問題を解決する方法のひとつとして、ABC分析があげられます。ここではABC分析について、具体的な方法やおすすめのツールを紹介します。

 

 

 

ABC分析とは?

 

 

在庫管理では、人気のある商品は多く、あまり人気のない商品は少なく、またはラインナップを見直すなど需要に応じて在庫数を調整する必要があります。

 

ポイントとなるのは、再発注のタイミングです。受注頻度や回転率が高い商品と、低い商品を同じ基準で再発注すると、在庫過多になったり欠品を起こしたりするおそれがあります。

 

そこで役立つのがABC分析です。商品を重要度別に「A」「B」「C」のランクで分け、各グループで管理方法を変えることによって、在庫不足や在庫過多のリスクを軽減します。

 

このように、在庫管理を最適化するためには、ABC分析にもとづいて、商品ごとに再発注の基準を設けることが重要です。

【基本】回転率で考えるABC分析

ABC分析は、基本的に回転率を軸として考えます。出荷頻度を基準に、「A」「B」「C」と重要度に応じて分けます。

A(重要度大)

在庫商品の中で、最も回転率の高い商品です。在庫切れが発生しないように、再発注する基準となる定数(発注点)を決めて発注を行います。

B(重要度中)

重要度がちょうど中間にあたり、Aよりも回転率の低い商品です。毎月一定数を発注したり在庫が切れかけた際に発注したりと、現状維持を意識します。

C(重要度小)

最も重要度の低いCは、回転率が低い商品です。売り切りの商品や季節限定の商品なども該当する場合があります。ランクCの商品は、在庫が切れてから発注したり、場合によっては商品を入れ替えたりすることもあります。

 

 

 

ABC分析の進め方3ステップ

 

 

在庫管理を適正に行うためには、ABC分析を正確な情報にもとづいて行う必要があります。

 

ABC分析は「パレートの法則」がもとになっています。パレートの法則は80:20の法則とも呼ばれ、「売上の8割は全体の2割の商品が生み出している」という考え方です。

 

ランクAの商品の2割が、全体の売上の8割を占めるということです。つまり、適正な在庫管理ができれば、効率的に売上へつなげることができます。

 

ここからは、一般的なABC分析の手法を紹介します。出荷数と売上高のデータを活用して行います。

3PLの概要

まずは商品ごとに売上データと出荷数をまとめ、表にします。

 

 

商品名 単価 出荷数 売上
1 クマのぬいぐるみ 5,000円 20 100,000円
2 サメのぬいぐるみ 3,500円 21 73,500円
3 犬のマグカップ 1,000円 35 35,000円
4 小鳥のポーチ 750円 46 34,500円
5 猫のティーカップ 1,500円 15 22,500円
6 ワニのティッシュボックス 650円 26 16,900円
7 うさぎのコースター 800円 10 8,000円

 

 

今回は売上高が大きい順に並べています。ほかにも単価や販売数量などを基準にまとめる方法もあります。

2.売上累計と売上累計構成比を算出する

商品をランク付けするためには、単純に売上のみを見るのではなく、商品ごとの構成比を知る必要があります。前の項目で作成した表の商品ごとに、売上累計と売上累計構成比を算出しましょう。

 

 

商品名 単価 出荷数 売上 売上累計 売上累計構成比
1 クマのぬいぐるみ 5,000円 20 100,000円 100,000円 34.4%
2 サメのぬいぐるみ 3,500円 21 73,500円 173,500円 59.7%
3 犬のマグカップ 1,000円 35 35,000円 208,500円 71.7%
4 小鳥のポーチ 750円 46 34,500円 243,000円 83.6%
5 猫のティーカップ 1,500円 15 22,500円 265,500円 91.4%
6 ワニのティッシュボックス 650円 26 16,900円 282,400円 97.2%
7 うさぎのコースター 800円 10 8,000円 290,400円 100%

 

 

売上累計は、売上を上から順に足して算出します。たとえば2位のサメのぬいぐるみの売上累計は、1位のクマのぬいぐるみの売上を足した「100,000円+73,500円=173,500円」となります。

 

売上累計構成比の計算式は「売上累計構成比=売上累計÷売上合計」です。売上合計は最下部のうさぎのコースター欄の売上累計を使用するため、たとえば小鳥のポーチの売上累計構成比は「243,000円÷290,400円=0.836…(83.6%)」となります。

 

 

3.売上累計構成比から「A」「B」「C」にグループ分けする

算出した売上累計構成比を見ると、この在庫の中では売上の59.7%をクマのぬいぐるみとサメのぬいぐるみの2点が占めているとわかります。算出した売上累計構成比を参考に、各商品を「A」「B」「C」にそれぞれランク付けしていきましょう。

 

・A:売上累積構成比が70%未満 ・B:売上累積構成比が70~90% ・C:売上累積構成比が90%以上

 

ランク付けに明確な決まりはありません。ここでは分かりやすく、上記の基準で分けました。

 

 

商品名 単価 出荷数 売上 売上累計 売上累計構成比 ランク
1 クマのぬいぐるみ 5,000円 20 100,000円 100,000円 34.4% A
2 サメのぬいぐるみ 3,500円 21 73,500円 173,500円 59.7% A
3 犬のマグカップ 1,000円 35 35,000円 208,500円 71.7% B
4 小鳥のポーチ 750円 46 34,500円 243,000円 83.6% B
5 猫のティーカップ 1,500円 15 22,500円 265,500円 91.4% C
6 ワニのティッシュボックス 650円 26 16,900円 282,400円 97.2% C
7 うさぎのコースター 800円 10 8,000円 290,400円 100% C

 

 

このように分けると、単価が高く売上高も小鳥のポーチと大差のない猫のティーカップが、ランク上ではCに分類されることが分かります。回転率だけでは数値の近いランクBに分けてしまう可能性がありますが、売上累計構成比をもとにランク付けすることで、正しく分類ができます。

 

 

 

EC事業と小売店におけるABC分析の違い

 

 

小売店とEC店舗におけるABC分析は、性質が異なります。

 

小売店では前述のとおり、ランクAの商品を優先的に確保し、Cの商品の仕入れ量を絞る方法が有効です。

 

たとえば、文房具店のABC分析はこのようになりました。

 

A(累計構成比が50%以上):ボールペン、サインペン B(累計構成比が40%~50%):鉛筆、シャープペンシル、消しゴム C(累計構成比が40%未満):筆箱、定規

 

つまり、ボールペンやサインペンを多く確保し、筆箱や定規の発注を抑えることで過剰在庫を防ぐことができます。

 

ただしEC店舗における在庫管理では、Cの在庫を絞り過ぎたり商品を入れ替えたりすることが必ずしも正解とはいえません。需要の少ない商品を置くことは、ニッチ層へのアプローチにつながるためです。

 

 

 

【EC事業】ABC分析によって在庫管理を最適化するには?

 

 

ABC分析をもとに、さらに在庫管理を最適化するためには、データの数値のみを見るべきではありません。商品の需要は季節や社会情勢などさまざまな要素で変化するため、多角的に考える必要があります。

1.商材の特徴を考える

まず商材の特徴を「売れるタイミング」「保管費用」のふたつの視点で考え、適切に在庫を管理する必要があります。

売れるタイミング

商材はそれぞれ売れるペースが異なり、必ずしも同等のスパンで売れるものではありません。発注自体も単品入荷が可能なものもあれば、ケースで一定数まとめての購入を前提としている場合も多いでしょう。

 

売れるタイミングと入荷数を商材単位で見極める必要があります。

保管費用

在庫を保管する際は、商品のランクに関係なくスペース利用料(倉庫の賃料)が発生します。 スペース利用料だけでなく、送料、入庫時の検品費用、出荷時のピッキング作業料、アウトソーシングの場合は、検品作業は1商品ごとに委託費用が発生するでしょう。

 

発注のスパンが短ければ、商品ひとつあたりのスペース利用料は低くなりますが、売れるまで長い期間を要する商品はスペース利用料も高くなります。ただし長期間の保管となる場合も、売れたときの利益の方が大きいのであれば、必ずしも商品の取り扱いを止める必要はありません。

2.どんな店舗をつくりたいのか考える

どのような強みや特徴のある店舗を作りたいかで、ABC分析にもとづいた在庫管理の基準も大きく異なります。たとえば新しさやトレンド重視なのか、ロングテール戦略を選ぶかの違いです。

EC店舗(トレンド重視の運営)の場合

EC店舗は、実店舗のようなスペースの制限がないため、豊富な商品を取り扱えるのが利点です。同じ商品を長期間置くこともできますが、「置いてある商品が変わらない店」では、店舗の目新しさは落ちてしまうでしょう。

 

そのため、トレンド重視のEC店舗では、シーズンごとの売り切りセールや現品限りの販売を行うことが一般的です。ランクAに分類される人気商品やリピート商品に注力することもありますが、シーズン別の商品に重点を置いている店舗も少なくありません。

 

また、一度に入荷した数量で終了する(再入荷しない)現品限りの手法を用いるケースもあります。

ロングテール戦略をとる場合

販売数の少ない商品の売上を狙う「ロングテール戦略」をとる場合は、ランクCの商品をあえて多く保有し、販売機会を逃さないようにする必要があります。一般的には需要の少ないニッチな商材を取り扱うのも良いでしょう。

 

前述のとおり、ランクCの商材にもスペース利用料などの保管コストはかかりますが、売り切れば売った分だけ、最終的に店舗売上は増えます。在庫も企業や店舗にとっての資産の一部にあたるため、もっているだけで回転率の良い商材を揃えておいたほうが運用上は効率が良いともいえます。

3.在庫管理システムと連携できる「HAPILOGI ASIMS」がおすすめ

ABC分析にもとづいて在庫管理を行うには、商材の在庫や受注状況、発注量を正しく把握することが重要です。そこでおすすめなのが、既存の在庫管理システムと連携できる、自動出荷管理システム「HAPILOGI ASIMS」です。

 

HAPILOGI ASIMSは、カート・モール・受注管理システムとWMS(在庫管理システム)の媒介として活用できるため、物流に関するあらゆるデータを一括管理できます。また、複数ショップの実在庫数や発送状況を把握したうえで、倉庫への出荷指示も自動で行えます。

 

Amazonやyahoo!など大手ショッピングモールとも連携しており、「どのショップから」「どの商品が」「何個」注文されたのかも即座に把握できます。受注内容に応じて商品の種類や在庫数、保管している倉庫も分かるため、複数の倉庫を所有している場合もスムーズな対応が可能です。

 

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まとめ

在庫管理の問題は、販売機会の損失を防ぐためには軽視できない部分です。単純な売上高などの売上データだけでは欠品や過剰在庫につながるおそれがあるため、ABC分析にもとづいた商品ごとに適正な在庫管理が求められます。

 

在庫状況を把握し、スムーズに受注や再発注を行うために、自動出荷管理システム「HAPILOGI ASIMS」をご活用ください。複数店舗や複数拠点の倉庫にも対応でき、大手ショッピングモールにも出店している場合も、それぞれのシステムで在庫管理する必要がありません。

 

 

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