冷凍冷蔵を必要とする化粧品のリピート通販の物流をいかに効率よく回していくか

 

ECが消費者に浸透するに従い、ありとあらゆる商品が取り扱われるようになってきています。そしてそれらの商品が、様々な販売方法でオンラインで売られるようになってきました。特に物流の負荷の大きいものとして、冷凍や冷蔵での保管が必要な化粧品があります。そして今、この商品をリピート商材として取り扱う事業者も増えてきています。そこで今回は、冷凍冷蔵を必要とする化粧品のリピート通販の物流をいかに効率よく回していくかを考えていきます。

 

 


冷凍や冷蔵での保管が必要な化粧品とは

 

化粧品は直接肌に触れるということもあり、非常にデリケートな商材です。保存状態によって製造時の品質が損なわれてしまうこともあるので、慎重に保管を行わなけれなりません。最近では、化粧品にとって最適な温度(10度前後)を保つコスメ専用の小型冷蔵庫も出ているほどです。

 

クレンジングや化粧水、美容液など、温度変化で変質する化粧品の中には、冷凍や冷蔵での保管が必要なものがあります。通常の倉庫では季節によって室温が535度となる場合があり、温度変化が激しいと成分の分離や変質が起きてしまいます。そのため、商品を最良の状態で届けるには、温度変化の少ない低温環境が適しています。ファンデーションなどは定温管理が必要ですが、特にオイルを使用しているものは分離しないように冷蔵や定温管理がマストです。

 

保管方法は倉庫によって異なりますが、冷蔵庫からの出し入れによる温度変化が原因で品質が劣化してしまったり、クリームや乳液の中には冷蔵庫で長く保管すると油分が分離する可能性があるなど、商材によって注意すべき点が変わってきます。

 


冷凍や冷蔵での保管が必要な商品が物流に与える影響

 

冷凍や冷蔵での保管が必要な商品は、物流にどのような影響を与えるのでしょうか。まず第一に、そのような商品を扱える冷凍冷蔵倉庫が少ないので、必然的に利用できる事業者は限られてきます。2019年末に日本冷蔵倉庫協会が発表したデータによると、冷蔵倉庫の保管容積は過去10年で14%ほど増加していますが、庫量はそれを上回る25%増となっており、逼迫した状況と言えます。

 

また、冷凍冷蔵倉庫の場合は1区画貸しなど出荷規模を求められる倉庫も多いので、小規模事業者は利用に至るまでにハードルがあるかもしれません。事業者にとっては、通常の倉庫に比べて維持費が高い点も負担となります。冷蔵倉庫は10度以下、冷凍倉庫は-18度以下での保管になりますが、通常の倉庫と違って必要な設備も多く、霜や結露に対する対策がポイントになってきます。

 

化粧品の中には逆に常温保管を求められる商品もあるので、常温、冷蔵、冷凍保管の商材が混在している場合は、配送便の仕分けが必要になってきます。これは非常に手間と時間がかかる作業です。また、商品に応じて受注の分割や倉庫分散も必要になってくるでしょう。

 

冷凍冷蔵は倉庫によって保管方法や管理状況が異なるので、事業者は利用前に細部に至るまで確認する必要があります。温度帯によっては出荷工程が増えるものもあるので、注意が必要です。

 

ここで実際の出荷物の庫内移動経路についても見ていきましょう。

 

冷凍商材は出荷直前まで前室保管し、以下のような流れで出荷に至ります。

保管:冷凍室(庫内)出荷作業:前室(廊下)積み込み:バース(ドアを開ける所)

 

冷蔵商材は冷凍とは異なり、出荷作業後すぐにバースへ移動させます。

保管:冷蔵室出荷作業:前室積み込み:バース

 

定温商材はバースまでの距離が近い場合が多く、倉庫側の負担もそれほどありません。

保管と出荷作業:定温室積み込み:バース

 

一般的に、前室は-10度から5度のチルド帯での管理になります。前室への移動は、急激な温度変化で外箱などが柔らかくならないようにするためのものです。また、冷凍室内での庫内作業は作業時間が限られているので、倉庫側は注意が必要です。

 


効率的に物流を回していくためのポイント

 

冷凍や冷蔵での保管が必要な化粧品を扱う際、効率的に物流を回していくためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。まずいかに効率良く回すことができるかは、倉庫管理システムの精度によって左右されます。入荷・在庫・流通加工・帳票類の発行・出荷・棚卸など、物流センター内の一連の作業を効率化し、一元的に管理する倉庫管理システムを導入すれば、効率良く物流を回すことができるでしょう。特に冷凍冷蔵が必要な化粧品の場合は、商材に合った倉庫管理システムとの連携が効率アップには欠かせません。

 

次に挙げられるのが、賞味期限やロット管理、出荷です。通常、出荷検品時のバーコード読み込みでは賞味期限を確認できないため、ピッキング時に指定された賞味期限の商品を、梱包時に混在させないオペレーションが必要になってきます。

 

また、ECは先入れ先出し、卸は指定ロットにするなどの運用も、効率的に物流を回していくためのポイントの1つです。

 

倉庫を選定する際には、冷凍冷蔵と常温商品の分散倉庫であることがマストです。前述した通り、化粧品は冷凍冷蔵以外に常温保管しなければいけないものも数多くあります。そこで様々な商品を一度に配送できるよう、分散倉庫を選びましょう。配送の際は、配送便の自動仕分けもポイントになってきます。

 

なお、ハンディ利用のピッキング作業は冷凍庫内では行えないため、前室に商品を移動してからの作業となります。そのため、冷凍庫と前室の導線の良さも効率化には欠かせません。

 


費用的な考察

 

ここからは、冷凍冷蔵を必要とする化粧品を配送する際、一般的にどの程度割高になるのか、どこまで許容すべきか、物流コストを変動費のどの程度まで見込むべきか等を見ていきましょう。

 

まず最初に、冷凍冷蔵倉庫は低温のため、作業時間が連続で確保できません。そのため、余剰に人員を確保する必要があり、当然その分教育コストもかかってきます。また、労働環境が過酷であるため、賃金を高めに設定せざるを得ません。倉庫自体の設備投資や光熱費などの維持費も、通常の倉庫に比べると高額となります。おおむね、保管費、作業費ともに35割程度割高となってきます。

 

それに加えて、区画貸しの場合は物量に関わらず固定費が必要になってきます。区画貸しでなくても、波動が大きい場合は閑散期の余剰スペースに別クライアントの荷物が入るケースなどを考えて、ある程度の固定坪数をキープする必要が出てくることがあります。

 

冷凍冷蔵対応の倉庫では、基本的に季節によるスペース利用料の変動はありません。逆に言うと、温度差の激しい夏や冬も一律の料金となります。冷凍冷蔵は配送に至るまでの工程が通常よりも多く、前室移動などの作業者の作業も増えるため、作業費は1.52倍程度割高となってしまいます。

 


まとめ

 

化粧品の保管とひと言で言っても、使用している原材料によってその扱いは様々。食品と同じように気を使って保管する必要があります。国内の冷凍冷蔵倉庫の需要は供給を遥かに超えていますが、大切な商品の保管のためにも信頼できる物流業者を選定する必要があります。

 

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