2025.08.29

メーカー・物流会社・システム会社を現場目線で支援してきたコンサルタントが語る、物流業界のリアル

vol.1:WMS導入におけるリアルな失敗体験談①

このシリーズでは、メーカー・物流会社・システム会社を現場目線でコンサルティングを実施してきた、LF&L株式会社の小林社長に、現場で見てきた物流現場のリアルについてインタビューさせて頂くシリーズになります。第一回目は、「WMS導入におけるリアルな失敗体験談」ということでお話をお伺いしていきます。

はぴロジ:
早速ですが、WMS導入におけるリアルな失敗体験談、お伺いさせて頂けますか?各社の記事などをみても、成功体験談と「WMSを是非導入してください!」ばかりで、失敗談というのはあまり見ないのですが。

小林氏:
そうですね、当然WMSを提供している会社さんたちは、導入してもらいたいので基本的には成功体験談しか掲載されないでしょうね!ですが、世の中には失敗体験談も数多くありますし、私も幾度となく経験してきました。

はぴロジ:
そうなんですね、具体的にどんな失敗体験談がありましたか?

小林氏:
あるメーカーさんのケースなのですが、それまではExcelベースで倉庫への指示を実施していたのですが、倉庫切り替えの提案の軸として「WMSを使って業務を効率化させましょう!」というのを軸にして提案して案件を獲得したのですが、実際獲得した後に業務を確認してみると、SKUは数十SKUしか存在せず、メーカーさん側で実施していた作業というのも、OMSから抽出したデータを倉庫にメール送信するだけ、というものだったんですね。何が起こったかというと、お客さん側としては今までメール送信していただけのものが、システムにわざわざログインしてインポートして、それまで特に問題がなかった住所の細かい調整まで実施しないといけなくなり・・・という形で逆に手間が増える、といった状態だったわけです。

はぴロジ:
確かに、WMSを開いてデータを投入するという作業だけでも、意外とオペレーションの時間がかかりますもんね。メールでデータを送って終わり、というだけだった頃から比べると、新しいことも覚えないといけないですし、お客様側もストレスと・・・でも、WMSって本来倉庫側の作業生産性を上げたり、在庫管理品質を向上させるものだから、そこに関してはメリットがあったんですよね?

小林氏:
素晴らしい質問ですね、先に話したお客様側の問題は微々たるもので、実は倉庫側にもデメリットでしかなかったという続きがあります。

はぴロジ:
そうなんですか!?是非詳しく教えてください。

小林氏:
そもそもなんでWMSを入れたかというのには、お客様側の効率化もあったのですが、WMSに備わった機能を使えば、出荷作業が効率化されるはず、というのがありました。どういう機能かと言っても、商品コード順にソートできて作業が順番に出来るとかその程度ではあったのですが。

はぴロジ:
各社最近標準導入されている機能ですね。その機能が使えなかったのですか?

小林氏:
実際にこの機能はかなり有用で、これまでだと受注順にしか出力出来なかったリストを、商品コード順に出すことが出来たので、受注順のやり方よりは効率化はされました。ただ、そこからが問題で、例えば違うSKUを購入した受注はどうするの?とか、配送会社側から仕分け番号別に作業を実施させてほしいと出てきてどうするの?とか、セール時は1日の作業数に制限をかけざるをえなくなり、その場合受注日が先のものを優先したいが、商品コードが優先されるので、商品コード順が後ろの受注がどうしても滞留しがちになってしまうとか、そんな問題が頻発してきたんですね。

はぴロジ:
それはWMSの機能で解決することが出来なかった?

小林氏:
そうですね、1つ1つの条件であれば考慮可能だったのですが、複数条件と優先度が絡んだときに対応できなかったのと、変更の操作を倉庫の管理者がすぐに変更出来るようなものではなく、都度開発ベンダーさんに依頼、設定してもらうというものでした。リードタイムもかかりますし、よくある話ですが伝達にミスコミュニケーションが発生したため想定通りの状態になっておらず、倉庫の作業が一時的にストップしてしまう、といった事故も起こっていました。これが、SaaSで広く提供されているWMSだったので、個別改善することも難しく、倉庫、WMSベンダー側もストレスが溜まっている状況だったのです。

はぴロジ:
まさに本末転倒といったような状況ですね。その運用はその後どうなったのですか?

小林氏:
本当にリアルな話になるんですが、そういったことをどんどん話しちゃっていいんですよね?

はぴロジ:
はい、是非お願いします!

小林氏:
このとき導入したWMSがですね、実はサーバーエラーで止まってしまったことが有りまして・・・

はぴロジ:
なんと、そんなことが・・・出荷止まっちゃいますよね、どうしたんですか?

小林氏:
新しく作りました(笑)

はぴロジ:
作ったのですか!?

小林氏:
簡易的なWMSを一晩で(笑)

はぴロジ:
ええええ!?そんなこと出来るものなのですか?

小林氏:
驚かれますよね、すみません。驚くような言い方をしてしまったのですが、実はWMSなどという高度なものではなく、GoogleのSpreadsheetで、OMSの受注データを投入すると、WMSと同じ動きをする簡易的なものです。

はぴロジ:
それでうまく出荷は回ったのですか?

小林氏:
これが結構うまくいきまして、まず倉庫側が実施しなければいけない作業が、通常のWMSだと引当とか在庫調整とか送り状発行とか多岐にわたるわけですが、そもそも数十SKUしかない簡素な運用だったので、Spreadsheetに受注データを取り込む機能と、入庫と在庫調整の一部作業を実施する機能を備えただけの非常に簡易なものに出来たんですね。既存のWMSのような高いレベルの管理システムがそもそも不要だったというわけです。
また、基盤を簡素に作ることが出来たので、先程申し上げた、複数条件での優先順序付けの実装も非常に容易に実施できて、今までWMS起因で出来なかった業務改善が一気に進みました。

はぴロジ:
怪我の功名というやつですね。今現在その運用はどのように?

小林氏:
WMSが復旧したので、元の運用に戻さざるを得ず、戻りましたというオチまでついています。現場は戻すとき非難轟々でしたね。ただ、この一晩で作ったSpreadsheetがすごく好評で、今でもその倉庫さんでは小規模荷主さんを入れるときに、WMSをあえて入れずSpreasheetで運用していたりもします。

はぴロジ:
失敗経験から学んで次に活かすことが出来ている例ですね・・・ちょっと逸れてしまいますがSpreasheetで在庫管理をしていて問題にならないのですか?一昔前のExcel運用と同じで信頼性がないとお客様に怒られそうですが?

小林氏:
この件の反省を踏まえたまとめもしながらお話できればと思うのですが、その着眼点はおっしゃるとおりです。やはり統制観点、品質観点で、しっかりとしたシステムであることが要件として重要なお客様も多くいらっしゃいます。
全ては「WMSを用いて何を実施したいのか?」の課題設定にあると考えています。今回のケースでいくと、具体的な業務イメージ、適用イメージがないまま「WMSがあればなにか効率化出来るはず」という点で走り初めてしまったというところに問題があります。本来的な課題設定としては、

① お客様の統制観点として、システム化されている必要がどれだけあるか
② 現場の実運用と照らし合わせたときに、どのような業務フローが実現できるとよいか
③ お客様側オペレーション、倉庫側オペレーションの誰の何の問題を解決するためにWMSを導入するか

の明確化を実施していく過程で、可能になるものではないかと思います。どうしても今システム化前提の世の中になっていますので、「物流をやるのであればWMSが必須」という枕詞で全ての会話が始まってしまっていますが、先の例のようにSpreadsheetでも簡易に実施できるような運用も世の中にはまだまだたくさん存在するはずです。WMSを提供している会社のコラムでこのような言い方をするのは変な話ですが、「WMS導入は必須ではない」です。
お客様への提案段階で、どのような業務フローを成し遂げてメリットを訴求していくのかを明確に見定め、提案していく必要があります。これの詳細に関してはまた別のコラムで是非詳細をお話させてください。

はぴロジ:
非常に具体的な体験談から、何をするべきかのイメージが湧いてきました。是非、具体的な課題設定のプロセス・手法に関してもお伺いさせてください。

はぴロジでは、WMSを内蔵したクラウド型流通統合システム『logiec(ロジーク)』を提供しております。内蔵のWMSだけではなく、使い慣れたWMSでの運用継続や、より高度なWMSへの切り替えも考慮し、販売システム(ECカート・モール等)とのAPI連携に利用するハブシステムとしての活用も可能です。
現在の運用や、解決したい課題を元にシステムをご提案させていただきますので、是非はぴロジまでご相談ください。

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◇会社概要
会社名   LF&L株式会社(LF&L co.)
本社所在地 〒212-0014 神奈川県川崎市幸区大宮町14-3フォレストマインズ202
代表者   代表取締役社長 小林悠真
企業URL  https://lflc.jp/