EC物流システム投資は、2025年の崖を前に、戦略的にどのようなポイントを考慮していく必要があるのか | はぴロジ

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EC物流システム投資は、2025年の崖を前に、戦略的にどのようなポイントを考慮していく必要があるのか


ECの浸透によって利便性が向上した反面、コロナ禍などにより不確実性が増したことも影響し、ECの受発注や需要には大きな波が出来るようになってきています。そのため、EC事業者はECのインフラであるシステムや物流にどのように投資を行っていくべきか、頭を悩ませることが増えてきているのではないでしょうか。また、「2025年の崖」問題が叫ばれる中、企業のシステム投資に対する考え方は大きな岐路に立たされています。そこで今回はEC物流システム投資について整理し、戦略的にどのようなポイントを考慮していく必要があるのかを考えていきます。

 

2025年の崖とDX

 

2004年、スウェーデンの大学教授であるエリック・ストルターマン氏が「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を提唱しました。これが昨今よく見聞きするデジタルトランスフォーメーション(DX)の始まりです。

DXは、企業がAIやIoTなどの新しいデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供の方法から企業文化まで抜本的に変えること。数十年前では考えられなかったクラウドやIoTが当たり前になった今、既存のシステムを使っているようでは企業の成長が見込めないというのです。日本では、経済産業省が2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」をまとめ、その必要性が広く浸透しました。しかしIDC JapanがDXに取り組む国内企業150社を対象に行った2019年7月の調査によると、未だ売上・利益増加の効果が見えていないという回答が最多で37.3%。多くの経営者がその必要性を理解しているものの、老朽化した既存の基幹システムがDXの妨げになったり、それに伴うITシステムの保守・運用コストに悩まされるなど課題は山積みです。

経済産業省が2018年に発表したDXレポートには、これらの課題を克服できない場合は、2025年以降に年間最大12兆円、現在の約3倍もの経済的損失が生じる可能性があると書かれています。これが2025年の崖問題と呼ばれるもので、国が民間のシステムに対して警鐘を鳴らすことは極めて異例なことだと話題になりました。一方、DXを推進することができれば、2030年の実質GDPは130兆円越の押上げを実現できるとされています。それほどまでに、DXは日本経済の鍵を握る重要な施策なのです。

 

 

▼経済産業省が発表したDXレポートの2025年の崖問題概要

 

 

出典:経済産業省DXレポート

DXを進めていくためにはIT人材の増強などが施策として挙げられますが、それと同時にIT人材の需給逼迫と大幅な報酬の増加が予想されます。データ統合などの業務の増加とともにこれらを自社ですべて担うには、莫大なIT投資が必要になってくるでしょう。DXの実現のためには、自社の予算に合わせて旧式のシステムを見直し、その時々で必要なシステムの刷新を考えていく必要があります。

 

 

EC事業の物流が直面している課題

ECの成長自体は予期されていたことであり、各社物流を含めてDXを推し進めてきました。しかし突如襲った新型コロナウイルス感染症の流行により、急激にECの成長が加速し、流通におけるDXの新たな課題が出てきてしまいました。企業は今、早急な対応を求められています。

 

物流においてまず問題となっているのが、配送員の慢性的な人手不足と倉庫需要の逼迫です。ここ数年でオムニチャネルやD2Cといった新たな取引形態が普及し始め、あらゆる事業者が業種問わずECに参入するようになりました。これにより、物流拠点の確保や物流業界の人手不足が深刻な問題となっています。

 

また、スマートフォンでのネットショッピングが浸透し、BtoBの大口配送からBtoCへと取引形態が多様化したことにより、小口配送が大幅に増加しました。これにより、出荷1件当たりの荷物量が減少。さらに送料無料を売りにする企業や再配達問題など、物流業界全体における業務の激務化、労働環境の悪化が問題となっています。

 

次の問題点として、販促施策の多様化によるオペレーションの複雑化が挙げられます。梱包の際には、DMやパンフレットだけでなく、商品サンプルやノベルティ、クーポンやお礼の手紙などを同梱するのが一般的になってきました。DXを推し進めるためにはこのような販促施策をAIで自動化しつつ、物流の要とも言える在庫管理を担保するシステムの開発・導入が必須です。しかしこれには多額の初期投資が必要になる上、システム管理の固定費を抱え込んでしまいます。さらに配送員不足から来る配送料金の高騰や倉庫需要の逼迫による物流不動産価格の高騰と合わせ、財務負担が増大しかねません。

 

また、システム面だけでなく、成長するEC・オムニチャネル市場に合わせて倉庫不動産の需給も逼迫しており、成長に合わせたキャパシティの確保が益々難しくなってきています。そこで今こそアウトソースを上手に活用し、需給に合わせたリソース確保が必要です。

 

 

EC事業の物流システム投資のポイント

 

日本企業のIT投資額は、コロナの影響も相まって上昇することが予想されますが、DXにおいて物流予算を優先的に確保することは難しいのではないでしょうか。また、自社で物流を構築しようとした場合、ECの規模が大きければ大きいほど対応範囲が広くなり、投資への財務負担が膨らむほか、導入スピードも遅くなります。IT人材への需要が急成長する中、エンジニアコストも高騰し、導入後の維持費増加も無視できません。流通チャネルの多様化によって企業は物流面でのDXも求められるため、今後は早急な対応とコストを抑えることが重要になってきます。

 

そこで考えられる解決策が、物流にアウトソーシングやSaaS型のクラウドシステムを用いることです。これらの導入によって自社でのシステム開発がいらなくなるため、多額の初期投資が不要になり、固定費を抑えることにもつながります。また、オンライン化が加速する現代においては、あらゆるモノ・コトがインターネットでつながって便利な反面、セキュリティリスクも増加しています。事業者は当然ここへの配慮も問われますが、クラウドシステムであれば常に最新の状態が保持され、自社システムのアップデートコスト等に頭を悩ませる心配もありません。さらに、物流を起点に様々な流通システムとの連携を考慮すると、データ統合へのリスク対策からiPaaS型のクラウドシステムを活用することも有効です。

 

また、複数の事業者が共有する既存の物流ネットワークを活用することで、効率的な配送を実現し、国内のみならず世界各国への配送も可能となります。このように、システム・物流ネットワークともにアウトソーシングに頼れば、物流面でのDXを一気に推し進めることができるのではないでしょうか。

 

2025年の崖に向けて今取り組むことが出来ること

今回のコロナ禍は、腰が重いケースが多い日本企業にとって、「禍」だけではないはずです。これを機に、あらゆる局面でDX化のニーズが一気に高まり、デジタル化へシフトする動きが見られています。今までの流れを継続することだけではなく、2025年に向けて、しっかりとシステム・物流面でもDXを視野に入れた取り組みをしていく必要があるのではないでしょうか。

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