【EC事業者様向け】在庫管理にかかるコストと削減方法

 

 

商品の在庫は、少なすぎると販売機会を逃してしまいますが、多すぎても管理にコストがかかって利益を圧迫する原因になります。

 

今回は、EC事業者様向けに、物流における在庫管理のコストについて解説します。具体的にどのようなコストが発生して、どのように削減すれば良いのか、在庫管理のポイントを紹介します。

 

 

 

在庫管理にかかるコストの内訳

 

 

まずは、在庫管理にかかるコストの内訳を、費目別に見てみましょう。

人件費

在庫の管理業務には一定の人員が必要です。必要な人数は在庫数や作業量によって異なります。在庫が多くなるほど、運搬や入れ替え、在庫情報の入力などに手間がかかるため、作業量も多くなるでしょう。

 

また、業務を補うために人数を増やしたり、少ない人数を残業でカバーしたりすることも、人件費が増える原因になります。 さらに、作業量が多くなると、煩雑化して人的ミスが発生しやすくなります。人的ミスを挽回するための作業をしなければならず、この場合も人件費の増加につながります。

 

本来であれば、作業量が多くなるほど在庫管理に携わる人員を増やすのが理想ですが、作業量は常に一定とは限りません。在庫が減って作業量が少なくなったとしても、雇用側は増やした人員に対して給与を支払い続けなければなりません。

 

扱っている商品にもよりますが、人件費は在庫管理にかかるコストの中でも、約3割を占めるほどの大きな負担です。余分な在庫を抱えるほど、人件費も増えてしまい、利益を圧迫してしまうでしょう。特に、寒い中で作業を行う冷凍食品の在庫管理などは、一般的な倉庫よりも人件費がかかりやすいです。

設備費

設備費とは、在庫管理に必要な設備の維持にかかるコストです。各種設備を稼働させるための光熱費や燃料代、設備そのものの減価償却費などが該当します。たとえば、フォークリフトや空調、照明、それらを管理するシステムなどです。

 

在庫の量が多くなるほど広い保管スペースが必要になり、それにともない設備費も上がってしまいます。特に一定の温度管理が必要な商品は、在庫の量によって空調設備の稼働率が変動するため、設備費に大きな影響を与えてしまうでしょう。

倉庫費

倉庫費は、在庫を保管する倉庫や土地にかかるコストです。賃料や保険料、自社所有の倉庫であれば減価償却費も該当します。

 

在庫数が多くなると、そのぶん保管スペースが必要になりますが、余剰在庫が発生している場合は、新たな保管場所を確保するのは得策といえません

 

適正な倉庫費を維持するには、商品ごとの回転率や回転期間を把握しておくことが重要です。

 

回転率とは、1年間にどれだけ在庫が入れ替わったのかを示す指標のことです。このようなデータを参考に、売れ筋商品や滞留在庫を仕分けて仕入れ方法を管理することで、倉庫費の削減につながります。

 

回転率にはさまざまな計算方法がありますが、個数で計算するのが簡単です。具体的な計算式は以下のとおりです。

 

 

【回転率の計算式】

 

回転率=1年間の出庫数÷(期首の在庫数+期末の在庫数÷2)

 

 

たとえば、1年間の出庫数が500、期首の在庫数が30で期末が20なら、回転率は20です。1年間に20回在庫が入れ替わったという解釈ができます。同じペースで在庫が入れ替わっているのであれば、回転日数は365日÷20回=18.25日です。

 

回転率の低い商品を多く仕入れてしまうと、倉庫費が多くかかる場合があります。しかし、売上単価の高い商品であれば、キャッシュフローへの影響が限定されるので、そこまで神経質になる必要はありません。

 

商品ごとの回転率や回転期間を見定め、適正在庫数を保つことで、倉庫費の適正化をはかりましょう。

 

回転率や回転期間については、以下の記事でも詳しく解説しています。

 

 

 

 

 

在庫管理のコストはどうすれば減らせる?主な削減方法

 

 

では、在庫管理にかかるコストは、どのように削減すれば良いのでしょうか。本項では、主な削減方法を紹介します。

余剰在庫を出さない「適正在庫数」の維持

余剰在庫を抱えていると、損失につながるおそれがあります。在庫管理にかかるコストがかさむだけでなく、保管している間に商品が劣化してしまい、定価で売れなくなることも大きなリスクです。また、廃棄する場合もコストが発生します。

 

在庫を抱えているうちは黒字だったのが、現金化できずに赤字へ転落するケースも珍しくありません。そのようなリスクを防ぐためにも、適正在庫数の維持が大切です。

 

適正在庫数とは、欠品にならない最小限の在庫数のことで、計算方法はいくつかあります。たとえば、「安全在庫」と「サイクル在庫」の合計です。

 

安全在庫とは、一時的に需要が変動したり、入荷が遅れたりしても、在庫切れにならない数量であり、適正在庫の下限値にもなります。サイクル在庫は、発注から次の発注までの間に消費される在庫量の半数で設定するのが一般的です。

 

先述した回転率や回転期間も、適正在庫数を決める際の目安になるでしょう。もちろん、適正在庫数は常に一定ではありません。定期的に見直しが必要です。

 

適正在庫数の維持ができれば余剰在庫は出なくなるので、倉庫管理のコスト削減につながります。在庫の現金化もしやすくなるため、キャッシュフローの改善においても効果的です。

受発注業務の効率化

商品の受発注業務を人手に頼っている場合、作業量が多くなると人件費も増えてしまいます。さらに、人的ミスが原因で、正しく在庫が管理されないといったトラブルに発展するリスクもあります。

 

受発注業務を効率化するためには、電話やFAX、メール、帳票類を中心とした受発注を見直し、受注管理システム(OMS)を導入するのがおすすめです。

 

受注管理システムを活用すれば、人が行っていた受発注業務の手間が省略され、人的ミスも防止できます。注文内容の確認や、決算時における納品書や請求書などの照合も簡単に行えるので、受発注業務が大幅に効率化されるでしょう。

 

ECサイトの運用で導入するのであれば、注文の受付から商品の出荷までの作業を自動化できます。

在庫管理システムの導入

在庫管理システムを導入すれば、在庫管理業務にかかる手間を減らすことができます。一般的な在庫管理システムには、商品の入出庫管理や検品、ピッキングリストの作成、返品管理、棚卸、マスタ管理などの機能が搭載されています。

 

商品の保管場所や在庫数、入出庫状況を一目で把握できるので、従来のように商品を探し回る必要がなくなり、在庫の過不足にもすぐ気づけるようになるでしょう。ほとんどの作業がハンディターミナルの操作とバーコードの読み取りだけで進められるため、入出力の手間も大幅に削減できます。

 

また、在庫管理システムを活用すれば、作業の標準化も実現しやすくなります。作業のばらつきが原因で起こるミスが発生しにくくなるため、正確性も担保できるでしょう。

 

このように、在庫管理システムによる業務の効率化は、人件費の削減や適正在庫の維持につながります。自社に最適なシステムを導入することで、在庫管理業務にかかっていたコストを大幅に削減することができるでしょう。

フルフィルメントサービスを利用する

 

 

在庫管理する商品の種類や数量が多くなると、次第に自社だけで対応するのが難しくなります。月間の出荷数が1,000件を超えるようであれば、「フルフィルメントサービス」の利用を検討してみましょう。

 

フルフィルメントサービスとは、在庫管理をはじめ、物流に関するあらゆる業務を一括代行してくれる物流アウトソーシングのことです。

 

サービス利用に費用はかかりますが、自社の状況によっては物流業務をプロに委託したほうが、結果的に人件費、倉庫費、梱包資材費などのコストを削減できる場合があります。

 

はぴロジのフルフィルメントサービスなら、受発注フローや商材の出荷頻度などに応じた最適な倉庫のご紹介が可能です。

 

自動出荷管理システム「HAPILOGI ASIMS」により、複数倉庫への柔軟な出荷指示が自動で完了し、同梱などの細かい要望もシステム内でできるので、物流全体の最適化を実現できます。また、配送先に近い拠点から出荷することで、配送コストも削減できるでしょう。

 

在庫管理のコスト削減など、物流業務に課題を抱えている事業者様は、お気軽にはぴロジにお問い合わせください。

 

はぴロジASIMSは、次期バージョンのクラウドシステムはぴロジLogiec<ロジーク>として、刷新いたしました。 「Logiec」は、あらゆるECカートやECモール、受注管理システムとWMS(在庫管理システム)をつなぎ、入出荷情報と在庫の連携をシームレスに実現します。

 

 

 

 

 

まとめ

 

商品の在庫が多すぎると、管理するための人件費や設備費、倉庫費などのコストが発生します。適正在庫を把握して余剰や在庫切れを防いだり、システムを導入して作業の効率化を図ったりするなど、コスト削減に向けて効果的な対策が必要です。取り扱う商品の種類や数量が多いなら、フルフィルメントサービスの利用も検討してみましょう。

 

 

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