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倉庫業務の課題は、ロケーション管理によって改善・解決する可能性があります。ただし、ロケーション管理の方法はさまざまあり、保管する商品に合わせた方法を選ぶ必要があります。それぞれのメリット・デメリットを解説したうえで、商品に合わせた選び方や運用のポイントを紹介します。
ロケーション管理で解決!倉庫業務における4つの課題

ロケーション管理とは、商品の保管場所を番号・番地化して管理する手法です。倉庫のどこに商品があるのかが分かりやすくなるので、倉庫内の業務が効率化されるというメリットがあります。まずは、どのような課題が解決できるのか見てみましょう。
1. ピッキングのミス
ピッキングは、出荷準備の際に効率的に梱包するための重要な作業です。しかし、庫内のロケーション管理が適切でないと、ピッキングでミスが発生しやすくなります。
たとえば、見た目や名前が似ている商品を近い場所に保管しているケースです。ピッキングリストをよく見るとどちらを選ぶべきか分かりますが、作業に慣れたからと十分に確認しないでいると、間違ったほうを選んでしまうことがあります。
ロケーション管理によって、両者を離れたところに保管すれば、前述したピッキングのミスは防げるでしょう。さらに、商品ごとにバーコードを発行して、ハンディターミナルで識別する仕組みを導入すると、人間の勘に頼らなくなるため、正確なピッキングができるようになります。
ほかにも、出荷の頻度が高い商品は近くに、そうでない商品は遠くに配置すると良いでしょう。ピッキングの動線を短くして、作業を効率化できます。
2. 保管スペースが狭い
倉庫では、棚やラックに商品を保管する際、「間口」という単位でスペースを確保するのが一般的です。しかし、商品数が増えてくると、間口が埋まってしまい、新たなスペースを確保するのが難しくなります。
このようなケースでは、不良在庫がスペースを圧迫している可能性が高いです。不良在庫などは個別に間口を設けず、1ヶ所にまとめるのがおすすめです。ロケーション管理ができていれば、少なくともそのエリアのどこかに目的の商品があると分かりますから、ピッキングで迷う心配もありません。
3. 在庫が散在している
入荷した商品を、空いているスペースに適当に保管してしまうと、作業の混乱を招きます。倉庫内も雑然としてしまい、倉庫見学に訪れた取引先や顧客の信用を失うおそれがあります。これは保管のルールが徹底されていないのが原因です。
ロケーション管理によってルールが明確になれば、商品が整然と保管され、作業も滞りなく行えるようになるでしょう。
4. 在庫管理に時間がかかりすぎている
ピッキングや棚卸など、在庫管理に時間がかかると、作業に携わる従業員の勤務時間も長くなり、人件費がかさんでしまいます。ミスが発生すると、さらに時間がかかってしまいます。
倉庫で保管する商品数が増えるほど、在庫管理には時間がかかるものですが、ロケーション管理によって作業の効率化が可能になります。
作業が効率化できれば、時間短縮になるだけでなく、空いたスペースを活用してより多くの商品を保管できるようになるでしょう。人件費や倉庫にかかる費用も抑えられます。
ロケーション管理の方法と注意点

ロケーション管理の方法は、大きく分けて3種類です。それぞれにメリットがある反面、運用する際に注意すべき点もあります。どの方法が保管する商品に合っているのか、把握しておきましょう。
固定ロケーション
固定ロケーションでは、商品の保管場所を固定します。どこに保管されているかが覚えやすく、ピッキングの動線に応じた間口の割り振りも可能です。間口を見れば、欠品していることがすぐに分かるメリットもあります。
一方で、入荷の頻度が低い商品にも間口を割り振らなければいけないため、スペースが空いていても活用できないのがデメリットです。また、商品の入れ替えによってロケーションを変更すると、一時的に作業効率が下がるという問題もあります。
固定ロケーションは、保管する商品数が少なく、常に一定の受注がある定番商品が多くを占めている倉庫に向いている方法だといえるでしょう。
フリーロケーション
フリーロケーションでは、商品の保管場所を固定せず、入荷の都度、空いているスペースに保管します。倉庫内の空間を有効活用できるのが大きなメリットです。
一方で、商品の保管場所が常に変わるため、情報が共有されていないと、ピッキングのたびに商品を探し回らなくてはなりません。運用にあたっては、在庫管理システムやハンディターミナルの導入など、デジタル技術を活用した管理が必須になるでしょう。
フリーロケーションは、在庫の入れ替わりが激しかったり、消費に期限がある商品を扱っていたりする倉庫に向いています。
ダブルトランザクション
倉庫の中でピッキングエリアとストックエリアを分ける方法です。「ピッキングエリアは固定ロケーション」で、「ストックエリアはフリーロケーション」が基本です。
ダブルトランザクションでは、エリアの性質に応じたレイアウトが可能です。ピッキングエリアには、すぐに出荷する商品のみを置いておくため、保管スペースを狭く、作業スペースは広く取れます。少ない動線で商品を効率よくピッキングできるため、時間をかけずに出荷できるでしょう。
ストックエリアは、商品の保管を目的としているため、保管スペースは広く、作業スペースは最小限で済みます。エリアを隅々まで有効に使えるでしょう。
ただし、ピッキングエリアの在庫が減るたびに、ストックエリアから移動するという手間が発生するので、大型の商品や1回の出荷量が多い商品には不向きです。また、ほかの方法よりも広いスペースが必要になります。
ロケーション管理をもっと最適にする4つの対処法

前述したロケーション管理の注意点は、ポイントを押さえることで対処が可能です。代表的な対処法を4つ見てみましょう。
1. 出荷頻度に応じて保管場所を決める
固定ロケーションでは、出荷頻度が高い商品を近くの間口に集中させて、低い商品は遠くの間口にすると、ピッキングの動線を短くできます。ピッキングにかかる時間も短縮できるでしょう。
また、出荷頻度が低い商品をフリーロケーションにすると、専用スペースの確保が不要になり、倉庫の有効活用もできます。
2. ハンディターミナルを活用する
在庫管理システムを導入して、商品ごとにバーコードを発行すれば、保管場所と紐づけられます。そのバーコードを読み取れるのが「ハンディターミナル」です。
ピッキング時に、リストに表示されたバーコードをハンディターミナルで読み取ると、保管場所が表示されます。フリーロケーションでも商品を見つけるのが簡単になるため、ロケーションを変更しても効率を下げることなく作業できるでしょう。
ほかにも、ピッキングした際に商品のバーコードを読み取れば、データ上の在庫を減らしたり、間違った商品をピッキングした場合にアラートを発したりすることが可能です。
もちろん、在庫管理システムやハンディターミナルの導入には費用がかかります。保管する商品数が多くなったり、フリーロケーションでの運用が必要になったりした場合は、導入を検討してみると良いでしょう。
3. 倉庫管理システムを導入する
在庫管理システムだけでも在庫の管理はできますが、「倉庫管理システム(WMS)」を導入すれば、在庫の管理に加えて、倉庫内の一連の作業を効率化できます。
たとえば、作業の進捗状況や従業員の生産性を確認できたり、請求書や納品書、送り状、荷札などを発行したりするなどです。複数のロケーションが混在しても、区分管理ができます。
4. 物流をアウトソーシングする
扱う商品数が増えると、物流業務を行うためには一定の人員とノウハウが必要となります。自社の物流業務における負担を軽減するためには、アウトソーシングを考えるのもひとつの手です。
しかし、自社に合ったアウトソーシング先を選ぶのは簡単ではありません。扱っている商材に特化したサービスや、保管方法に対応してくれる倉庫業者を探す必要があります。
「はぴロジ」のフルフィルメントサービスでは、EC事業者様が抱える物流業務の課題をヒアリングし、解決に最適な倉庫を全国の提携先から紹介します。商材やエリア、物流方法に合った事業者様を提案することが可能です。
さらに、自動出荷管理システム「HAPILOGI ASIMS」が、あらゆるカート・モール・受注管理システムとWMSの媒介となります。在庫の一括管理や自動出荷が可能で、物流の手間や負担を大幅に減らせるでしょう。
まとめ
倉庫内の商品は、ロケーション管理すると、作業を効率化できたり、スペースを有効活用できたりします。ロケーション管理の方法は、それぞれメリットとデメリットがあるため、商品に合った方法を選びましょう。
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